COLUMNコラム

私たちは屋根屋です

北都板金工業株式会社 代表取締役会長 高橋勝志さま

屋根は家を守るための安全の要です。
その金属屋根の素材は、ドラム缶を伸ばして平らにして、六つ切葺き(3尺×6尺のサブロク板/910mm×1820mm/の寸法を6つに切ったもの)を手で折り曲げてリヤカーで運び現場で貼っていました。それからブリキ板、亜鉛鉄板、亜鉛アルミメッキ鋼板などの素材が開発されて、今では多くの住宅で使用されているガルバリウム鋼板はアルミの含有量が多く耐久性に優れています。長尺もので切断機や折り曲げ機で扱いやすく耐久性に優れた素材が開発されて進化してきました。

道外の屋根で多いのは瓦屋根。北海道と歴史が違うからでしょうね。台風の多さや夏の暑さも関係しているでしょうし、外観的にも重みがありますよね。北海道の冬では屋根の積雪が1平米1トンくらいありますから、瓦屋根だと潰れてしまう。金属素材の屋根は、北海道では理にかなっていると思います。

板金施工実例

 

防水

屋根屋にとって防水は切っても切り離せません。というよりも万が一雨漏りが起きたら、私たちの仕事は0点です。金属は光、雨、雪などに晒され紫外線も浴びているから金属疲労を起こします。場合によっては切れることがあるかもしれません。そういった素材の特性や現場の状況を理解して施工に当たらなければなりません。長持ちする性能の良い素材があるからといっても、施工するのは人ですから、いい加減な気持ちや適当な振る舞いで仕事をすれば、お客様にご迷惑がかかります。

板金施工実例

 

丁寧な仕事

当社の本社は北見ですが、今現在ニセコを含めた道内さまざまな現場でお仕事をさせてもらっています。今から30年ほど前、北見以外の現場での見積もり依頼で、地方からだと経費がかさんで高いでしょと言われました。それが嫌だったことと、現場から疲れて帰ってきたときに温かい食事を食べさせてあげたいと思い、北見はもちろん札幌、旭川にも職人たちのための宿舎を持っています。やっぱり私たちの仕事は「人」が主役ですから、そのための環境を整える必要があると思っています。

板金工事業は、内装業、塗装業と同じく29種類ある独立した建設業許可のひとつです。屋根材や雨どい、外壁、ダクト、水回りなど、建物には多くの金属製品が使われています。金属板を加工して、これらの建築部位を製作するのが建築板金です。現在当社には一級建築板金技能士16名、二級建築板金技能士5名と多くの有資格者が在籍しているように、技術を磨く目標として技能検定資格の取得を奨励しています。二級建築板金技能士を目指し、取得したら5年後の一級建築板金技能士を目指していく。資格取得の過程で「評価される(見られている)」ことを体感し、「お客様の立場や気持ちを考える」ことも学びます。そうすると必然的に丁寧な仕事を心がけるようになります。お客様にとっては一生に一回の家づくりです。お引き渡しや竣工検査の時に、足跡のついた屋根を見たらがっかりするはずです。私たちは普段から屋根に足跡がつかないように靴底を拭いて作業しています。丁寧な仕事とは素材を大切にすることであり、日常的な心構えから始まるはずです。

板金施工実例

 

技術への探求

以前ドイツの展示会を視察に行った時、現地の人と話す機会がありました。「私は板金屋、屋根屋です。素材を加工して・・・」と自己紹介をしたら間髪入れずに「その板金の耐久性は200年持つのですか?」と聞かれました。

ヨーロッパでは石造りの建築文化が根底にあって、10年20年というスパンではなく、100年単位で長持ちするものをつくることが技術のベースにあるんですね。そもそもの考え方の違いに唖然としました。そう考えると技術の探求に終わりなどはなく、技術の継承と向上、そして人材の育成、まだまだやらなければいけないことがたくさんあります。そのために仕事の価値を自分たちで高めて、魅力あるものにしていかなければなりません。

屋根を含めた板金技術は建築物の外観を決める仕上げなので、非常に大事な技術とセンスが求められます。あの住宅は私たちの仕事だ、あの建物は私が仕上げた、そう胸を張って話せる仕事をこれからも残していきたいと思っています。


高橋勝志 代表取締役会長

北都板金工業株式会社
北見市北央町115番地13
TEL0157-24-8490
https://www.hokutobankin.co.jp

1956年創業の建築板金加工会社。
北見、旭川、札幌の3拠点から、住宅、大型商業施設、ホームセンターなどの板金工事を展開。
創立日の1月1日は創業者の誕生日。