GALLERY実例紹介

シリパ岬を望む家

Nさん宅・夫40代、妻30代、子ども2人

余市町でトマト農家を営むNさんご一家。畑のある広い敷地内にはNさんのご実家やジュース工場が点在していますが、Nさんご一家の旧居は畑から離れた場所の集合住宅でした。

農家は天候が大きく影響する仕事。Nさんは深夜に激しい雨や強風が吹くたびに、畑の様子を確認するため車を走らせていました。

畑と自宅の距離に非効率さを感じたNさんは「いつでも畑の様子を見守れる場所で暮らしたい」と、畑のある敷地内に新築を決意。デザイン性を重視してSNSや住宅雑誌で情報収集を行い、「気になった数社に連絡をしましたが多くが遠方を理由に断られてしまって。唯一、前向きな返答をくれたのがミライエホームでした。モデルハウスにも足を運び、その空間にも魅せられて家づくりを決めました」と奥さんは出会いを振り返ります。

新居は1階に子ども部屋や和室といった個室群を集約。2階に水まわりや寝室、LDKなど暮らしに欠かせない要素をまとめ、上下階の移動の少ない暮らしを実現しています。
圧巻なのは海に向かって開く2階の大開口。余市湾に佇むシリパ岬をダイナミックな窓に映すリビング・ダイニングはこの家のハイライトです。「このロケーションを見た社長がリビングは2階にするべきだと提案してくださいました」と、敷地が持つ唯一無二の魅力を最大限に引き出した計画でした。

階段ホールとリビングの間に設置した暮らしの雑多なものを受け止める大容量の造作収納や、洗う・干すが完結できるスロップシンクを備えた広いランドリールーム、畑の様子をいつでも確認できるように位置を検討した窓計画など、農作業と家事を両立する多忙なNさんご一家の暮らしを新居がアシストしてくれます。

広大な海とシリパ岬は、疲れを癒やし、仕事へと向かう活力。「見慣れていたはずの景色なのに、毎日見ほれてしまいます」と笑顔で語る奥さんでした。

吹き上げ天井が大開口と相まって開放感をもたらすリビング。ハイサイドライトからやわらかな光が注ぐ
果樹園の向こうに映える余市湾とシリパ岬。仕事を終え、夕日で赤く染まる海を眺めるのが至福のひととき
ソファの背面にある白いボックスは、大容量の造作収納
遠くに臨む海を眺めながらくつろぐリビングは、自然と家族が集まる憩いの場
リビングに大きくボリュームを割くために、ダイニングテーブルは設けずカウンターを採用。配膳や片付けもスムーズ
キッチンの背面のタイルがアクセントに。窓からは畑の様子が確認できる
海を眺めながら作業ができるキッチンは開放感に溢れている
BBQも楽しめる広いバルコニーには階段を設置し、昼休憩時に直接ダイニング・キッチンに向かえるように計画
洗面所の先に続く広いランドリールームと浴室。洗う・干すが一つの空間で完結できるのが便利
造作収納が壁となって、階段から上った際に視線をやわらかく遮る。階段横の窓からも畑が確認できる
玄関ホールに隣接する広い和室。引き戸の上部に空間を設け、締め切っていても閉塞感がないように工夫されている
広い玄関ホールは子どもたちの遊び場としても機能。将来的にテレビを置いて、友人たちと自由に遊べる空間にする予定
玄関のステップが豊かさをもたらす。大容量の玄関収納で玄関まわりはいつもスッキリ

FROM DESIGNER設計者より

札幌から見れば余市町は遠方ではありますが、この場所は高速余市インターを降りてすぐ5分ほどで到着します。札幌市内でも場所によってはもっと時間のかかるところもあるわけですから、遠方だからお断りするなどという思考はなかったですし、農家さんの住宅だということで面白そうな家になる予感がしていました。

建築予定地の敷地といいますか畑といいますか、広いトマト農地の中で、計画過程で3回場所が変わって今の場所になっています。2番目の予定地がNGになった時、Nさんも私も実は少し諦めかけましたが、トマト苗をつくるビニールハウスが立っている場所が、奇跡的に地目上の「宅地」であることが判り、しかも、海に向かって大きく開けてシリパ岬を見晴るかす絶景の眺望で、小躍りする程の感動モノでした。

農繁期は全く打ち合わせの時間が取れないという条件で冬に始まった計画は、2年がかりで予感以上の家となり、携わらせていただいたことに感謝です。

扉を開けると出迎える、ゆったりとした広さの玄関。作業道具の出し入れがしやすく、大人数が立ち寄っても窮屈さを感じない
玄関まわりの床や壁はタイルで仕上げて上質感を演出
青空と畑の中に立つNさんご一家の住まい。外壁の茶は、自然の中に違和感を与えないようにとNさんがセレクト。農作業後、2階に直接アクセスできるように設置した外階段の踏み板は、汚れに強いグレーチングを採用